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これまでに開講した講座の中からいくつか様子をご紹介いたします。今期講座の受講の参考にご覧ください。
※今期開講しない講座もありますので、ご了承ください。
レポート1 【学修旅行】
何気ない日常の風景の中に四季の移ろいを感じることができる、自然豊かな山形。本講座では、月山、姥ヶ岳、湯殿山、南側に朝日連峰を望む絶好のロケーションで、色鮮やかな紅葉と初雪が輝く絶妙な景観をスケッチしていきます。日本画家である松本学長が、五感を使って対象をとらえることや、自然を描く時のポイントをていねいに指導します。
松本学長は、一人ひとりに声をかけ、一刻一刻と変化し続ける自然に感動すること、音や匂いまで写しとることを呼びかけます。スケッチブックいっぱいに山々を描いた受講者には、「もったいない!」とスケッチブックを見開きにして山々を包む大きな空を描くことを提案。「雲の線だけでいいから描いてごらんなさい。自分の絵じゃないみたいになるから」と、冗談を交えながら生きた絵を描く楽しさを伝えます。
西川町志津温泉の旅館では、学長を囲んでの講評会や、講師と参加者同士の親交を深める時間も。自然に抱かれ、週末のまとまった時間を全てアートに充てる短期集中型の講座は、受講者たちにも好評です。

「松本学長にお会いできる貴重な機会だと思い受講しました。グラフィックデザインの仕事に就いてから仕事のためのデザインばかりやっていましたが、これからは、自分のために絵を描きたいと思っています」
田口隆弘さん(仙台市)


レポート2【資格取得講座】
臨床美術士5級取得講座では、医療、介護、福祉をはじめ教育の場や能力開発に活用できる「臨床美術士」の基本的な知識や考え方を学びます。全5回の講座で、基本画材となる「オイルパステル」を使ったカリキュラムを実践できる力が身につく内容となっています。
人気の高い「立体かぼちゃ」作りでは、かぼちゃの丸み、ぎっちりと実がつまった重さ、ごつごつとした表皮を感じながら、古新聞紙をまるめてかぼちゃの中身から作り、外側には色とりどりの和紙を貼っていきます。講師の藤木先生は、没頭していく受講者に対し「たまにはかぼちゃも見てくださいね」と笑いを誘いながら、高齢者、認知症、子どもに作業させた場合の注意点や工夫など、現場の指導者に必要な知識も伝えていました。
「臨床美術士」の考え方を現在の職場で活かしたいという方や、美術を社会に役立てたいという意識を持っている方、子どもの感性を育むのに役立てたいという方々におすすめの講座です。

「受講の決め手は立体かぼちゃです。児童館に勤務しているので、子どもの心に働きかける行動の参考にしようと思っていましたが、 それ以上に自分の視野が広がったことが大きな収穫となったように思います」
立花淳子さん(仙台市)


レポート3【夜間・週末講座】
陶器の平皿、カップ、漆の箸と絵付けした小皿、金属のさじと小皿、草木染めのランチョンマットとコースターを手作りし、自分だけの食卓を演出するのが本講座です。全6回の講座で、素材が違う4種類のものづくりが体験できるのが大きな魅力。それぞれの制作には、陶芸、漆、金工、テキスタイルを専門とする教授陣が講師として指導にあたります。
出来上がった器類を並べた受講者は「初心者の自分でも、こんな質の良い物が作れるなんて」と、喜びの声をあげていました。工芸コースの小林教授は「食事を楽しむために工芸品を作ることで、『作って終わり』ではない、ものづくりの考え方を経験してもらえれば」と語っています。
最終日には、地域食材を使ったバイキング料理を自分で盛りつけ、思い思いに食卓を彩ります。佐々木教授は「日本ほど器にバラエティがある国はありません。和食器に洋食を乗せたりして、豊かな文化を楽しんで」と、受講者に語りかけました。

「食卓コーディネートで、うつわづくりからやるとは思っていなかったのでびっくりしましたが、素晴らしい経験ができました。一番のお気に入りは漆塗りの箸。毎回時間をかけて漆を塗布したので愛着があります」
閔暎純さん(山形市)



レポート4【夜間・週末講座】
歴史的な名作、マックスビルのスツール(Ulmer Hocker)に自分のアイデアを加えオリジナルの家具を作る本講座は、男女問わず幅広い年代の方が受講しました。本講座の流れは、イメージを膨らませてスケッチをした後、図面を描きスチレン板で1/5スケールの模型を作り、図面に手を加えてから実制作に入るという本格的なもの。図面を描くのは初めて、という主婦の方も「台所に置くスツールが踏み台になればいいと思って」と、引き出し収納できる踏み台を付けるというアイデアを形にしていきました。降旗教授は「学生にはない発想。アイデアに生活感がありますね」と感心。木の削れる音や匂いが心地よい制作工房は、クリエイティブな活気に満ちあふれていました。
「たまに日曜大工はしますが、本格的に図面を描いて金槌やノコギリを持つのは初めて。出来上がりを考えて今の作業をすることにやりがいを感じます。完成品を見たら、家族はびっくりするでしょうね」
「芸工大のOBですが、学科が違ったので学生の時には使わなかった施設を使えるのが楽しいですね。懐かしくて新鮮。この講座では幅広い年代の方々と教え合い、触れ合う機会にも恵まれました」


レポート5【夜間・週末講座】
「デッサンは、日本画でも洋画でも全ての基礎になります。触るように対象を見つめ、線の質を感じ、出力する技術を養い極めていけば、デッサンでも細密で美しい作品になります」という三瀬准教授。受講者は、貝殻や鳥の剥製の中から自分の描きたいものを選び、たっぷりと時間を使って見つめデッサンをしていきます。受講者の中には、「作り手の立場になることで作品をどう見ていくか、ポイントをつかみたい」というギャラリー勤務の方もいます。講評会では、三瀬准教授が一人ひとりの作品の良い所ともっと良くなる所を指摘。具体的な鉛筆の動かし方はもちろん、見るという行為から生まれた線が、空間や気配やポエムまで描くことができることを伝えました。


レポート6【夜間・週末講座】
初めて絵筆を持つ初心者から専門的な技術を身につけたい人まで、進度に合わせて幅広い指導をしている本講座。「描きたい」という受講者の気持ちを大切に、一人ひとりコミュニケーションを取りながら指導しています。受講者の中には、「野菜や花など何気ない物を見ても『描きたい!』と思うことが多くなり、それが自分の課題となって取り組むようになりました。旅行に行っても、ただ見て終わり、じゃないのが楽しいんです」という方や、油彩や水彩とは違った日本画の奥深さに触れ、5年に渡り毎回参加している方がいます。絵具を一塗りずつ重ねていくように充実した時間を積み重ねていく、受講者にとって貴重なひとときとなっているようです。


レポート7【夜間・週末講座】
山形県西川町で江戸時代から作られている"月山和紙"を使い、自由な形であかりをデザインする本講座。講義では、素材と光の関係や、そこから得られる照明効果、雰囲気を考え、光と影に対する観察力と感性を豊かに養います。制作に際しては、個人のアイデアや発想を講師がサポート。風船に和紙を貼り付けて丸いあかりを作ったり、ピラミッドのように板を組み立てたり、凝ったデザインの設計も可能です。受講者は、蕗(ふき)の葉をイメージして和紙をちぎり風合いあるあかりを作っている方、あけびの蔓で型取り、お姉さんから届いたという手紙の挿絵を貼付けている方、アイスクリームのように丸い形を積んだ方など、それぞれが個性あふれるあかりを作っています。


レポート8【夜間・週末講座】
「人間の目、鼻、口。見慣れた顔のパーツを、"未知のもの"として捉え、衛星が星の地形を探るように線で記録していきます」と、本講座を説明する石井教授。「人間の目は既成概念で勝手に見ている」として、全6回の講座のうち4回までは、これまでの思考を組み換えるように自分の顔の細部を見つめ、豊かな起伏や劇的な明暗を感じてデッサンをしていきます。「最初は先生の言っていることがよく分からなくて。回を重ねるうちに、ゆっくりと線が形になってきて自分でも不思議でした」という受講者に対し、石井教授は「だまされたと思ったでしょ」と笑顔で応えました。最終日には各回の自画像を一列に並べ、回を追うごとに生々しさを増す自画像を講評しました。


レポート9【学修旅行】
山形には明治から昭和初期にかけて建てられた西洋建築物が数多く残されています。本講座は、建築史家・志村直愛准教授の講義とガイドで、日本近代建築の歴史を学びながら建物の美しさやまちの魅力を体感する内容になっています。志村准教授は「私のような“よそもの”の目、“建築マニア”の目で見たものを楽しく伝えたいです。皆さんが身近な建築物の素晴らしさを見つけるようになって、家族に伝えてくれたらいいですよね」と話し、アットホームな雰囲気で受講者に語りかけます。明治末期にルネサンス調で建てられた教育資料館では、観光なら30分程のところを1時間以上かけて細部まで見学。西洋建築を学んだ職人の工夫や当時の状況を推し量り話し合います。大正期に英ルネサンス調で建てられた文翔館では、完全に西洋建築を会得した美しい職人技を堪能。特別に時計台の裏にまで探検の足を伸ばしました。「建物は使われてなんぼ」という志村准教授。歴史的建造物がいまだ自由に使うことができる素晴らしさを受講者たちと分かち合いました。


レポート10【夜間・週末講座】
漆芸講座「金継ぎ(初級)」では、陶磁器 の割れたものや欠けた部分を漆によって修理する技術の初歩を習得します。6回の 講座では、地固めや下地付けなど漆芸の基礎的なことから、銀粉を蒔き、固め、磨いていくまでの工程を、実践しながら学んでいきます。
講座の雰囲気は明るく和やかで、講師である小林教授や柳橋先生に受講者たちが次々と声をかけ、作業の確認を密にしながら講座は進んでいきます。作業に入る前には、小林教授が金継ぎの材料である、銀粉、金粉、すず粉、真鍮粉について、実際にサンプルを手に取りながらそれらを使った時に得られる効果、大きさの違い、技法、産地や価格までを丁寧に説明。受講者は熱心にメモを取りながら先生の話を聞き、「消し粉と丸粉の違いは何ですか?」「粉筒は自作もできますか?」など活発に質問を投げかけていきます。受講者の中には「家にある古い陶器や漆器の多くが、震災で壊れてしまいました。少しでも自分の力で直して使えるようにしたいです」と、この講座で学んだ技術を震災後の生活の修復へ活かす意欲を示してくれた方もいました。壊れたものを修理して長く使うことは、日本人の無駄のない生活や精神の表れとして受け継がれるべき習慣と技術であることを改めて感じさせられます。
小林教授は、今回の講座で金継ぎを通して、普段縁遠くなりがちな漆を身近に感じ生活に活かして欲しいと考えています。「陶器の修理は要望が多いわりに、自分で簡単に修理できることは知られていません。漆は下地を選ばず、木の他にも金属や皮など様々なものに塗ることができるのでいろいろ利用ができるんですよ」と、日本人が長く親しんできた漆の魅力と可能性を伝えています。講座の日には、自宅にある壊れた陶器を持ってくる受講者も多く、漆を通して情報交換をする学び合いの場となっています。

「我流でやっていた金継ぎと比較しながら学んでいます。骨董市で格安の古伊万里を購入し金継ぎをしました。自分が手をかけた蕎麦猪口で食べる蕎麦は美味しいですよ」
鈴木隆二さん(白鷹町)



