design:立花文穂

球体2(きゅうたい)
六耀社のヴィジュアル文芸誌。創刊号の特集は責任編集・立花文穂による『文字のはなし』。タイポグラフィや活版印刷による作品に定評のある立花文穂が、それらの作品に至るまでに、日常の風景をどう見ているか?文字を感じながら撮影した写真で構成した。年4回刊行。『球体2』には今回のレジデンスの成果が「特集:東北圏」としてまとめられた。

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TUAD Artist in Residence Program 2007 "立花文穂"

東北芸術工科大学美術館大学構想室では、2007年度のアーティスト・イン・レジデンス・プログラムに、アーティスト立花文穂を招聘します。立花文穂(1968年広島生まれ)は、文字と紙、本を素材/テーマに作品を制作し発表するほか、書籍の装丁や演劇ポスターなど多くのグフィックデザインも手がけています。これまで出版した作品集「紙々」(1998年)、「クララ洋裁研究所」(2000年)や、個展「MADE IN U.S.A」(1995年/佐賀町エキジビットスペース)、「Q体」(2005年/ギャラリー360°)、「木のなかに森がみえる」(2006年/SHISEIDO LA BEAUTE パリ)における紙や本を配置したインスタレーションは、「背」「小口」「ノド」などの部位別名称をもつ「本」を、身体(ボデー)の表象として捉え、夥しい紙の集積に埋没しながら様々な場所で貼り・つなぎ・印字する立花自身のアクションの、詩的なドキュメントとしてまとめられており、その文字、活字、紙、印刷、製本のすべては「立花文穂的世界」としか名付けようのない独自のデザインセンスに貫かれています。
今回の「TUAD Artist in Residence Program 2007|Fumio Tachibana」では、立花が責任編集およびアートディレクションを手がけるヴィジュアル誌「球体」(六耀社・11月下旬に第1号配本)の東北取材をサポートします。まず10月初めに、東北文化研究センター所長で民俗学者の赤坂憲雄らとともに岩手県遠野地方の民俗調査に同行し撮影をおこなった立花は、引き続き11月中旬から12月初旬にかけて山形県大蔵村や庄内地方の各地で取材・撮影に取り組んでいきます。
「球体」の創刊によせたコメントで、立花は、「すべて〈文字〉が〈文字〉になるまえのはじまりのかたち」、「ひとびとがあつまって、〈球体〉ができる。はじまりのかたち」とコメントを寄せています。
様々な表現や知の領域が「文字」の成り立ちをめぐって参加し交感していく運動体をイメージしながら、日常生活や自然風景から立ち上がる「文字」の起源を探る旅をはじめた立花文穂。美術館大学構想室では、雪を迎えつつある山形の中山間集落や原野を辿る立花に伴走し、その思索のプロセスを開示・検証していく2つの特別講義を通して、東北の風土をデザインやアートの視点から読み解いていく新しい文脈の構築を目指していきます。

  • 滞在期間=前期 2007年11月23日[金]−28日[水]/後期 2008年1月9日[水]−18日[金]
  • 主催=東北芸術工科大学
  • 企画=美術館大学構想室
  • 協力=情報デザイン学科グラフィックデザインコース/六耀社/肘折温泉地区/赤坂憲雄/森繁哉

●関連イベント

  • ○Program 1『立花文穂の文字のはなし』
  • 日時=2007年11月27日[火] 17:30−19:30
  • 会場=東北芸術工科大学こども芸術教育研究センターこども劇場
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  • ○Program2『立花文穂の球体のはなし』
  • 日時=1月16日[水] 17:30−19:30
  • 会場=東北芸術工科大学こども芸術教育研究センターこども劇場
  • 講演+写真=立花文穂
  • 聞き手=宮本武典

●プロフィール

立花文穂 Fumio Tachibana
1968年広島生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。東京藝術大学大学院美術研究科修了。 これまで発表した作品集「紙々」(1998年)、「クララ洋裁研究所」(2000年)や、個展「MADE IN U.S.A」(1995年/佐賀町エキジビットスペース)、「Q体」(2005年/ギャラリー360°)、「木のなかに森がみえる」(2006年/SHISEIDO LA BEAUTE パリ)などで発表された紙を素材とするインスタレーションでは、「背」「小口」「ノド」などの部位別名称をもつ「本」を、身体(ボディ)の表象として捉え、様々な場所で「貼り」「つなぎ」「印字する」立花自身のアクションのドキュメントとしてまとめられていた。1997年に東京タイポディレクターズクラブ会員金賞受賞、2001年に第80回ニューヨークアートディレクターズクラブ(NYADC)金賞、2004年には第21回ブルノ国際グラフィックデザインビエンナーレ(チェコ)グランプリを受賞する。主なグループショーに2004年「衣服の領域」(武蔵野美術大学美術資料図書館、東京)、2008年「motアニュアル2008−解きほぐすとき」(東京都現代美術館、東京)など。

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