美術科

日本画コース

大自然から実感する描くということの素晴らしさ

日本の風土と描き手の熱意によって育まれてきた日本画は、伝統美と現代芸術が織りなす可能性に溢れています。雄大な自然の中で自らと向き合い、自身の表現を見出す時間は、優れた表現力と強い精神力を養ってくれます。また幅広い分野の教授陣が、学生一人ひとりの意見や表現を丁寧にサポートする体制も特長。他学科との交流も多く、既存の枠にとらわれない表現を追求できる環境が整っています。ここで育まれる豊かな思考力と表現力、そして美術の目と精神をもって次代を見据えていける人材は、これからの社会において大切な存在となるでしょう。


芸工大の日本画コースだからできること

画壇を牽引する教授陣
前衛的な作家から日本画の精鋭まで個性豊かな教授陣が集結。個々を尊重した指導を全教員で全学生に行うことで、在学中から数々の公募展で入選・入賞を果たす、実力ある学生を多く輩出しています。

東北・山形の自然と対峙
山形にゆっくり流れる時間、大学を取り囲む山河や天空のダイナミックさを全身で感じながら制作に向き合い、この土地でしか得られない経験や感覚を画面へ表現する力につなげていきます。

大作に挑戦できるアトリエ
大作でも床に寝かせて思いきり描ける、十分な広さのアトリエを備えています。4年次には150号の課題に挑戦。卒業制作となると、サイズ制限もありません。

少人数のテーマ別ゼミ
3年次では、生命、自然、心象の3つからテーマを選択し、対話を重ねながら制作。複数のゼミを体験し、自身の方向性を見出します。対外的な作品発表も学生主体で行います。

4年間のカリキュラム
  • 1

    デッサン力を鍛え、日本画材の基本を学ぶ/日本画材に初めて触れる人も多く、デッサン力を鍛えながら、日本画の基本的な技術を養う。植物のデッサンから日本画に起こしたり、動物園でのスケッチをもとに動物画を制作するほか、パネル制作も習得。また描くことについて、教員とともに考える。

    【必修科目(1年次)】芸術鑑賞の喜び/芸術思考論/日本画基礎演習1~4/日本画考
    【選択必修科目(1~4年次)】日本美術史概論/西洋美術史概論/東洋美術史概論
    【選択科目(1~4年次)】美術解剖学/芸術色彩学/工芸論/版画史/工芸史

  • 1
    日本画考
    「日本画とは?」という問いに対し、各作家の視点や歴史的な移り変わりから多くを学び、自らの制作に反映させることが目的。(必修)
  • 1
    日本画基礎演習1
    観察写生を基にする細密素描を通じた画材の研究。仮張り、和紙、墨、胡粉などの違いで表現方法は多岐に渡る。(必修)
  • 1
    日本画基礎演習2
    顔料、膠、和紙の扱い方を学び、風景デッサンを基にした30号の制作。写生、小下絵、大下絵、本画制作と段階を踏んで描く。(必修)
  • 1
    日本画基礎演習4
    テーマを人物に限定した30号の制作。基礎的な描写力を鍛え、人物を通し感動をどのように表現するかを学ぶ。(必修)
  • 1
    スケッチ旅行
    2泊3日の研修旅行。山形の名所を訪ね、国宝の五重塔や雄大な自然の写生から、柔軟な感性を養う。宿坊に宿泊し交流も深める。(課外)
  • 2

    表現技法を更に発展、応用させる/前期は基礎を確実にし、絹の画面に描く古典技法(絹本)にも挑戦。後期は技術を固めるため金箔や銀箔の実習や、古典模写として昔の絵具や炭など、限られた素材での幅広い表現を目指す。また「それぞれの山形」というテーマで50号の絵を制作する。

    【必修科目(2年次)】日本画演習1~3/素材学/美術と実践力1・2
    【選択必修科目(2年次)】美術科共通演習(絵画・彫刻・工芸・総合)A・B・C
    【必修科目(2~4年次)】素材学(日本画)
    【選択必修科目(2~4年次)】日本近世近代美術史/現代美術史
    【選択科目(2~4年次)】素材学(洋画)/芸術思考と社会/美術の見方/素材学(版画)/素材学(彫刻)/先端的コンテンツとアートシーン/衣服論/染色論/クリニカルアート演習

  • 2
    日本画演習1
    観察写生を基に絹本制作。特徴を的確に捉え、美しく描くことを学ぶ。伝統技術から今日の日本画制作への応用を考える。(必修)
  • 2
    日本画演習3
    50号の制作で柔軟な感性を養い、今後の幅広い意欲につなげる。伝統素材である金箔や銀箔を用いた箔演習で、高い技術を学ぶ。(必修)
  • 3

    テーマを決め、100号以上の制作に挑戦/「動物や生命」「風景や自然」「コンセプト系や抽象」のテーマで自由に制作。後期はさらに完成度の高い絵を1枚仕上げるほか、自由制作で100号以上の制作にも挑戦。6月にはスケッチ旅行で羽黒山に行き、感受性に訴える風景と出会う機会も。

    【必修科目(3年次)】日本画演習4~7/ポートフォリオ研究/ポートフォリオ作成
    【選択必修科目(3年次)】アーティストマネジメント/キャリアマネジメント
    【選択科目(3~4年次】アートマネジメント概論

  • 3
    日本画演習4
    動物や生命、風景や自然、コンセプト系や抽象系の3テーマに分かれて100号の制作。自身の進むべき方向性を見出す契機とする。(必修)
  • 3
    日本画演習7
    自らテーマを設定し、100号程度の自由制作。グループ内での意見交換の機会も多く持ち、言語での理解と表現力も高める。(必修)
  • 4

    自らの枠を超えた制作に挑戦/技術面でも自分の自由が利くようになり、卒業制作は挑戦心を重視。「大失敗でも構わない。自分が思う以上の作品が生まれることも(教授談)」。全教員で全学生を見る指導が特長で、150号以上の大作でも描ける環境は、芸工大ならでは。

    【必修科目(4年次)】日本画演習8・9/卒業制作

  • 4
    日本画演習8・9
    最後の1年をどう制作するか真剣に問い、目指す姿に自己を近づける。卒業制作を考え、下絵の準備段階からじっくり取り組む。(必修)
  • 4
    卒業制作
    集大成として150号以上の日本画を制作。各自の感性と技術を活かし、試行錯誤しながら、4年間の中で最高の作品を目指す。(必修)

活動レポート

  • 伝統的な技術を学ぶ古典模写

    作者の意図を理解しながら伝統的な技術を学ぶ「古典模写」では、昔の絵具から墨の幅、色の重ね方など、限られた素材の中でどれだけ幅広い表現ができるかを学習します。

  • スケッチ旅行

    ヨーロッパやインド、中国など色々な国を歴訪。スケッチはもちろん、各国の風土や文化との対話は、新たな自分の発見にも。現地の人々や友人との触れ合いを通して、美意識を育みます。

  • 現代絵画の登竜門で受賞

    人と動物の対比で人の存在や価値観の揺らぎを表現した3年の渋谷七奈さんが、シェル美術賞2015にて、保坂健二朗審査員賞を受賞しました。

  • 岩から絵具を作る

    鉱石や岩石を砕き、様々な大きさの粒子に分けて岩絵具作りを経験。自分で作り、使うことで再認識する自然本来の色彩感覚は、日本画の原点を見つめ直す大切な機会です。

  • 高い評価を得る幅広い方向性

    研究が進むにつれ制作テーマは多岐に。久松知子さんの作品は、出品数672点から「第18回 岡本太郎現代芸術賞」岡本敏子賞を受賞。現代アートとして高い評価を受けました。

  • じっくりと取り組むことで描写力アップ

    1年後期からの課題作品は半年で2枚。課題として多くの枚数を重ねる大学が多い中、1つの作品にじっくり時間をかけて制作し、観察力や描写力がアップするのが特徴です。


作品紹介

  • 永遠の、夢のような幸福

    大野奈々子「永遠の、夢のような幸福」

    H2100×W3300mm 和紙・岩絵具・箔・他

  • むねにさくはな

    吉田健祐「むねにさくはな」

    H1610×W2780mm 綿布・岩絵具・石粉粘土・他

  • 世界を見つめる方法

    加藤茉里恵「世界を見つめる方法」

  • オオカミは死んだ、わたしたちは生きている。

    古田和子「オオカミは死んだ、わたしたちは生きている。」

  • 碧の森は淡いまぼろし

    横井えり「碧の森は淡いまぼろし」

    H2400×W3600mm 綿布・岩絵具・アクリル絵具・箔

  • あなぞこの夢

    須賀友佳里「あなぞこの夢」

    H1700×W2550mm 和紙・岩絵具・墨

  • 紅壁

    清水悠生「紅壁」

    H2273×W1818mm 和紙・岩絵具・墨

  • 悠遠

    中山浩一「悠遠」

    H3000×W1365mm 和紙・岩絵具・箔・墨

  • SHAMBHALA

    多田さやか「SHAMBHALA」

  • 在る魂の流れ

    柴田梓「在る魂の流れ」

    H2050×W2730mm 和紙、岩絵具、水干絵具、箔

  • 夢語るモノ達

    松本史子「夢語るモノ達」

    H2273×W1620mm 和紙、岩絵具、墨、水干絵具、鉛筆、色鉛筆

  • 畏怖

    生井知見「畏怖」

    H2500×W3510mm 和紙、岩絵具、盛上げ胡粉、水干絵具

  • 日本の美術を埋葬する

    久松知子「日本の美術を埋葬する」

    H2260×W4800mm 板、岩絵具、アクリル絵具、他

  • 雨ざらしのエチカ

    永井里枝「雨ざらしのエチカ」

    H2400×W5502mm 板、岩絵具、その他顔料、箔

     

  • 何も言わずに

    財田翔悟「何も言わずに」

    H2200×W6370mm 綿布、岩絵具、その他顔料

  • move around

    中村夏海「move around」

    和紙、膠、樹脂メディウム、岩絵具、1800×2500mm

  • 紬想綺譚図

    古田和子「紬想綺譚図」

    和紙、膠、岩絵具、銀箔、1810×3168mm

  • 山形に生きる

    北野有里子「山形に生きる」

    紙本、岩絵具、水干絵具、箔、墨、1300×3820mm

  • APE

    菊池咲「APE」

    水干絵具、泥絵具、胡粉、2500×4900mm

  • 僕は聞こえないふりをする

    藤井奈津美「僕は聞こえないふりをする」

    寒冷紗、岩絵具、水干絵具、2600×3120mm

  • 老夫婦の童謡

    土田恵子「老夫婦の童謡」

    高知麻紙、胡粉、岩絵具、水干絵具、箔、1820×2330mm

  • 祝☆卒業!!!

    鈴木萌子「祝☆卒業!!!」

    和紙、岩絵具、水干絵具、アクリル、2000×3020mm

  • 春よ恋

    山口裕子「春よ恋」

    紙本、岩絵具、箔、1000×1000mm

  • ギャル化自変図

    大塚怜美「ギャル化自変図」

    絹本、墨、1480×850mm

  • 寺門直美「光」

    和紙、岩絵具、水干絵具、1620×3900mm

  • schwarz ~おとぎの国の少女たち~

    財田翔悟「schwarz ~おとぎの国の少女たち~」

    綿布、アクリル樹脂、ピグメント、水干絵具、硫酸カルシウム、2420×8190mm

  • happy loop・・・

    稲恒佳奈「happy loop・・・」

    白麻紙、麻生、岩絵具 1850×3400mm

  • 源流

    大平由香理「源流」

    シナベニヤ、膠、粉末顔料、箔、砂、2200×4575㎜

  • されどひかりつづける

    中村俊「されどひかりつづける」

    和紙、膠、岩絵具、金箔、1820×2856mm

  • 空気の底

    多田さやか「空気の底」

    和紙、アクリル絵具、岩絵具、コラージュ、2733×4230mm

  • WINTER MIRANDA

    森山陽介「WINTER MIRANDA」

    和紙、膠、粉末顔料、墨、岩絵具、金箔、1930×3150mm


フォトギャラリー

  • 美術科 [日本画コース]
  • 美術科 [日本画コース]
  • 美術科 [日本画コース]

教員紹介

長沢明 教授/美術科長/コース長
Nagasawa Akira

長沢明 教授/美術科長/コース長
Nagasawa Akira

1967年新潟市生まれ。1994年東京芸術大学大学院日本画専攻修了。修士。

 

第5回柏市文化フォーラム104大賞展〈TAMON賞〉、1997年五島記念文化賞「美術新人賞」受賞。2006年MOTアニュアル2006 No Border「日本画」から/「日本画」へ(東京都現代美術館)、2007年第3回日系日本画大賞展(ニューオータニ美術館)、作風は、日本画の伝統的な素材にこだわりつつも、さまざまな素材をも駆使し、独特な触感的表現を持つ。「トラ」シリーズで知られる画家。2004年より芸工大准教授として指導にあたる。

 

個展/2013年「忘れていた絵 長沢明 展」東京日本橋高島屋、など

06_p04_1

「マウンテン」
2273mm×1818mm パネルに寒冷紗、岩絵具、石膏、槌 2006年

番場三雄 教授
Banba Mitsuo

番場三雄 教授
Banba Mitsuo

1953年 新潟県出身。

院展、龍生会展、旅人会展などに出品。1999年には山形松坂屋、2013年には大沼山形本店にて個展を開催。主な受賞作品に「峠」秋季院展奨励賞、「祈り」「寧児」春の院展奨励賞などがある。

2007年、「風の道」で日本美術院賞 大観賞を受賞。

 

06_p05_1

「風の道」

末永敏明 教授
Suenaga Toshiaki

末永敏明 教授
Suenaga Toshiaki

1964年神奈川県生まれ。東京芸術大学大学院日本画専攻修了。修士。文化庁芸術家在外研修員として渡独、以後ドイツにて活動(’91~’05)。デュッセルドルフ芸術大学(独)卒業。マイスターシューラー。

 

2005年より本学にて指導にあたる。グローバルな視点で絵画を追求し、主にマクロコスモス、ミクロコスモスの生成をテーマとして展開している。1989年上野の森美術館絵画大賞展大賞、2001年エンゲルベルト=ケンペル インターナショナル展一等賞、2008年河北倫明賞など多数受賞。国内外で個展のほか、グループ展「Roter Reiter」(独)、「Plan.d.」展(独)、「両洋の眼」(日)、「作家の視 点」(日)などに出品。

080827suenaga

「Erdschicht」 162.3×130.5cm 綿布、箔、ピグメント、岩絵の具他 2008年

三瀬夏之介 教授/芸術工学研究科長
Mise Natsunosuke

三瀬夏之介 教授/芸術工学研究科長
Mise Natsunosuke

1973年奈良県生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。修士。

 

既存の日本画の枠にとらわれない、多様なモチーフや素材、時にはコラージュを施した作品の圧倒的な表現力が高い評価を得ている。トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞(2002)、五島記念文化財団 美術新人賞(2006)、第16回VOCA賞(2009)ほか、受賞多数。

2013年 個展 N.E.blood 21 三瀬夏之介展 リアス・アーク美術館、日本の絵 三瀬夏之介展 平塚市美術館、2014年 特別展 三瀬夏之介-雨土(あめつち)の記展 浜松市秋野不矩美術館

その他、シンポジウムやアーティストインレジデンスに参加するなど、精力的に活動の幅を広げている。

misevoca2009

「J」

金子朋樹 講師
KanekoTomoki

金子朋樹 講師
KanekoTomoki

1976年 静岡県御殿場市生まれ。2006年 東京藝術大学大学院 美術研究科博士後期課程美術専攻日本画研究領域修了。博士。

 

日本画の伝統的技法と写生を基盤に自然生命とヘリコプター・飛行機などの人工物や機械をリミックス構成し、循環する一つのダイナミズムとして表現。作家グループ運営、講演、ワークショップなどの制作外の活動も行っている。

 

第10回 臥龍桜日本画大賞展 優秀賞(1999)。平成23年度 静岡県文化奨励賞(2011)、 2012年 ガロン第2回展『日本背景』(主催/川口市、ガロン実行委員会、後援/川口市教育委員会、公益財団法人佐藤国際文化育英財団・佐藤美術館、協力/ギャラリー58、gallery neutron、認定/公益社団法人企業メセナ協議会)、第2回トーキョー・アート・ナビゲーションコンペティション大賞(2012)ほか、受賞多数。

 

個展/アートスペース羅針盤(‘03年‘15年)、銀座スルガ台画廊(‘05年)、銀座東和ギャラリー(‘06年)、ギャラリーQ(‘08年‘09年‘10年)、ギャラリー広岡美術(‘13年) 、東京九段 耀画廊(‘13年)。

2014年制作

「流転の華 -麗しく、艶やかに-」

非常勤講師

非常勤講師

及川聡子
小野寺啓
景山健
河合規仁
松崎綾子


目指せる代表的な職業と取得できる資格

代表的な進路先:
公務員、団体職員/美術館、博物館/商品企画、開発/販売、商業施設/旅行、観光、ブライダル/雑誌・地域紙制作/美術・工芸作家/イラストレーション/アパレル、ファッション/学校教員/NPO(芸術、教育)/学芸員
取得できる資格:
小学校教諭一種免許(中学校教諭一種免許取得者が、指定の通信科目を受講することで取得できます)/中学校教諭一種免許(美術)/高等学校教諭一種免許(美術)/学芸員