



三浦 まず前提として僕らの場合、自治体からの調査依頼が圧倒的に多いですね。自治体の方も予算が潤沢なら都市部のコンサルティング会社に業務を委託するのでしょうが、地元の大学とパートナーシップを組めばプロジェクト終了後も何らかのフォローアップが期待できる。それが自治体側のメリットでしょうね。建築や環境に関する調査は継続して追いかけられることが大切ですから。大学側も、基礎調査だけではやっぱり物足りないので、それを使って環境問題やエコロジーに関する提案など、学生と一緒に何か地域での具体的な取り組みにつなげていきたいですね。自治体がそのパートナーなら住民に声をかけてくれたり、多少の仕組みづくりまで用意してくれます。そこまで基盤が整えば、大学がノウハウを提供して、地域社会と連携した実践的な研究活動ができます。教育・研究機関ですから、その様な形で物事を進めていけるというのが魅力ですね。僕たちは学内で完結する研究だけではなくて、学生たちと問題意識を共有して考えたことが、机上の空論ではなくて実際に社会を変えていけるのではないかという、大袈裟に言えばそんな気持ちで調査に携わっています。
三浦 環境省の補助事業として、山形県内に省エネ住宅を普及させるための基礎調査をNPO法人『環境ネットやまがた』から依頼されたものです。山形に住んでいる方なら、どんなに暖房を強めても室内が寒いとか、暖房費がかかってしょうがないとか、そういった住宅に関する不満に覚えがある人は多いと思います。でも一体どこが悪くて、どうすればそれが改善されるのか、なかなか相談できる所がないですよね。環境やエネルギーへの負担を考えても、空調の省エネはこれから大事になってくるのは間違いないので、まずは住宅を診断するための方法を考えてみることにしました。灯油がかつての倍以上の値段になっていますからね。地球温暖化をどうのこうのと言う前に、「光熱費自体が生活を圧迫しているからどうにかしてほしい」というニーズだって大事だと思うのです。具体的には学生と一緒に住宅の図面を見せてもらって間取りなどの構造のデータをとったり、赤外線カメラで室内の気流を捉えて、外気がもれている場所を特定したりしていきます。原因が判明したら、あとは窓を強化したりするなどのコストが発生してくるので、僕たちは診断のためのデータを採取した上で提案だけをおこない、あと実際に補修するかどうかは家主さんの判断になっていくわけです。この調査はモデル的に昨年実施したもので、現在はその基礎データやノウハウを行政サービスとしてどのように定着させていくのか議論をしているところです。
三浦 洞爺湖サミットの結果を見ても、日本は60~80%もCO2を減らすみたいな、相当思い切ったことをやらないといけないのに、肝心の省エネの具体案となると、各家庭では電気がいいのか、ガスがいいのか、灯油がいいのか消費者はなかなか判断がつきません。灯油はイメージが悪くてオール電化がいいってCMでは流れていますけど、マスメディアからの情報だけでは大きい会社のことを信じるとか、それぐらいしか基準がなくなってきますよね。ですから、地域にある大学のような公的でニュートラルな機関からの情報は本当に必要だと思います。 僕たちの方もこうした調査や提言を通して、例えば「東京を変える」なんてあまりにも壮大で大変ですけれど、山形県内の小さな街でなら、町内会の人たちと協力して何か地域社会や環境のためにアクションを起こしていけますよね。それで実際に街の景観が環境に配慮されたかたちで整備されていったり、住民の方々にエコロジーの意識が浸透したりしたときの達成感はとても大きいです。小さくても一つの地域が変わるというのは、大きな世界にとっても意味があると思うのです。

生活交通路線のデマンド交通システム
|
住宅の省エネ診断モデル制作業務
|
会津本郷焼産地基盤整備計画策定調査〔福島県会津本郷町 |
鷺畑山古墳群地形測量調査業務委託〔山形県藤島町〕 |
丸岡城跡史跡公園整備基本計画〔山形県櫛引町〕 |
省エネルギー地域活動共同研究〔山形県庄内町〕 |
山形市景観計画
|
高速道路の料金割引社会実験に
|
|