東北ルネサンス弥生史観の暗闇の中から、縄文の光が次第に大きく日本の魂を揺さぶりはじめている。
東北には、一万年を超える長きにわたって、縄文の精神が脈々と受け継がれてきた。日本文化の中心といわれる奈良、京都といえども、その歴史はわずかに千数百年。縄文の土壌の奥深さにはかなうべくもない。
今日、三内丸山に象徴される数々の発見は、弥生にはじまる農耕文化が日本文化の原型であるという定説を完全に覆し、環太平洋の世界的な広がりの中に、日本文化の基層を改めて問うべき必要を教えている。
東北の地には、海洋と森林の豊かな実りに支えられて、大自然との共生原理に基づく優れた文明が存在していた。その研究は、日本の文化史を塗り替えるだけでなく、人類の文明史観そのものに転換を迫るに違いない。
この東北こそ、日本に残された最後の自然 ─ 母なる大地 ─ である。
現代文明の過ちを克服し人間の尊厳を取り戻す戦いの砦である。
東北芸術工科大学は、この豊穣な大地の懐に抱かれて、次代を担う青春と、人類の未来に思いを馳せる多くの良心を結集し、縄文の心を、新たな世界観へと結晶させることを願って設立された。
1999年4月25日 東北芸術工科大学理事長 徳山詳直
