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軽部 企画というのは…たとえば自分の彼女や彼氏に、どんな誕生日プレゼント*1をあげたら喜ばれるかを寝ずに考えること。それがもっとも純粋な企画。相手のことを思って、相手を喜ばせようという気持ちが大切なんです。企画というと、マーケティングリサーチやデータに頼って、パズルのように組み合わせるものと思いがちだけど、それは最低限の知識とテクニックだから。
小山 ひとつの企画が「どうしたらもっと楽しくなるか」「どうしたら受け入れられるか」をシミュレーションすることも大切。ふだんから考える習慣をつけておく。たとえば「1万坪の土地をもらったら何に使うか?」を考えてみるとします。「もっとこうした方がいい」とか、勝手に考えるだけで楽しめるし、誰にも迷惑かけないから(笑)。
小山 僕が一番教えたいのは、何をしていいのかわからない人。「おもしろいことがしたい、でも勉強の仕方がわからない」「どこに行けばいいのかわからない」と迷っている人たちにこそ来てほしい。イメージとしては『がんばれ!ベアーズ』*2みたいな(笑)。
軽部 僕たちの会社*3には、入社希望のメールがたくさん寄せられるんですけど、経験はないけど夢だけは持っている若者がいっぱい。たとえば「僕は将来『情熱大陸』に出たいんです」とか(笑)。でも、やる気だけはある。若手のある社員は結局、1ヶ月の試練*4を経て入社しましたけど。
小山 もちろん、マスコミや広告代理店をめざす人、あるいは「新しいメディアをつくっていきたい」というポジティブな人にも来てほしい。
小山 僕が教える授業には3つの段階があります。第一には経験。とにかくたくさんの経験をして、その楽しさを味わってほしい。第二には模倣。経験を積むうちに真似をはじめるはずですから。そのうえで、第三の創造がある。経験も模倣もなしで、いきなり創造するのは難しい。段階を追って学ぶことで、自分なりのオリジナリティーあふれるものを創りだすようになるでしょう。
軽部 学科のカリキュラムでは、マーケティング*5やブランディング*6といった基礎知識も勿論学んでもらいます。さらに、今のような情報社会では、情報の本質を見極める力が必要。目の前にあるものに、どれだけ不必要な情報が付加されているか。それを知るためには基礎知識を学んだうえで、不必要な情報をそぎ落とすことと、物事の本質にある美しさや良さを表現する方法を学んでほしいですね。
小山 職種というより、アーティスト感覚のあるビジネスマン。きっといろいろな所で活躍できるはず。
軽部 企画とは、一人の発想力ではなく、スタッフが組成されてこそ大きな企てとなる。企画力だけでなく、実行するためのディレクション能力をもつ人間を育てたいと思っています。

*1. 誕生日プレゼント
某社員の誕生日には、プロの役者が「東北芸術工科大学」の偽理事長になって訪問し、偽の孫娘を紹介する、という手の込んだサプライズをプレゼントした。
*2. 『がんばれ!ベアーズ』
アメリカの人気映画(1976年)。元マイナーリーグでアル中のコーチがいつも負けてばかりのダメダメ少年野球チーム“ベアーズ”を再生、活躍に導いていくスポーツ・コメディ。
*3. 会社
株式会社オレンジ・アンド・パートナーズ。平成18年9月設立。小山氏が社長、軽部氏が副社長を務める。ホームページは http://www.orange-p.co.jp/
*4. 1ヶ月の試練
オレンジ・アンド・パートナーズがプロデュースした「たこやきらぼ」(大阪)の売り上げを自分の企画で伸ばすという試練。結果はなんと前月比180%を達成。その様子は「たこやきらぼBLOG」で。
*5. マーケティング
企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動。(日本マーケティング協会)
*6. ブランディング
精神的な構造を創り出すこと、消費者が意思決定を単純化できるように、
製品・サービスについての知識を整理すること。
(Kevin Lane Keller)