ソウゾウリョクを学ぶということ

title

美しいと思える気持ち、感動できる心

「芸術大学」という場所は、世界にたったひとつだけの自らのオリジナリティを発見できる貴重なところです。
自らの確かな価値観を持つということは、他者の痛みをわかるということでもあり、そのためにものごとをイメージする力〈想像力〉が果たす役割は小さくありません。きっと、今の自分に自信を持っている人は少ないかもしれませんが、実は誰もが優れた〈想像力〉を持っているのです。そうでなければ、美しいものを見たときや聴いたときに感動できるわけがありません。お百姓さんも、バスの運転手さんも、コンビニの店員さんも、みんな「美しい」と思えるものがあるはずです。そして、少しでもより良くできるように、色々な工夫をしているはずです。その美しいと思える気持ちや感動できる心が、〈想像力=創造力〉の核心です。ですから、すべての人がその〈ソウゾウリョク〉の感性を持っているのです。一部の人はそれが疲弊したり何かに覆われてしまって、気付かなくなっているだけなのです。
東北芸術工科大学のような芸術大学の役割は、それを気付かせてあげること。もともと持っている自分のオリジナリティを発見し、自分は世界でたったひとつの存在なんだと理解してもらう。そして、社会にその力を発揮させていけるように全力で学生を支援する。私たち、芸術大学は、ただ知識や技術を詰め込むのではなく、もっとベーシックな、自分の中にあるオリジナリティをつかみだしてもらうために、学生をサポートする立場なのです。

これからの東北芸術工科大学

〈ソウゾウリョク〉の目的は、人生を豊かに生きて、そして自分も他者も幸せにする、そんな能力を発揮していくことです。イメージする力で他者の苦しみを理解し、また難しい問題を解決できる、真の〈ソウゾウリョク〉を持った人材が、日本にも海外にも必要なのです。ご存知の通り、世界では紛争が後を絶たず、地球環境はボロボロになり、社会問題は山積みになっています。実際には見えない苦しみを想像し受け止めることが、解決のカギを創造するには不可欠です。世界が求めているのはそのような課題を変えていける、リーダーたちです。だからこそ、そのような人材を輩出することが、芸工大のテーマなのです。
芸工大には「芸術が平和のためにどう貢献できるのか」という理想があります。その理想を、学生と共有したいと私たちは考えています。また、学生のような若い人の心にも届くような、〈新しい表現〉と〈新しい言葉〉で伝えていきたい。つまり、有名になることが格好いいだとか、お金を儲ぐことが偉いだとか、それだけではなく、他者や社会に貢献できるような、そんな生き方が本当は格好いいんだ、ということを世界の人々の心へ素直に届かせたいのです。

足下から世界を変える!

普通の生活の中で、創造力を発揮できる人たちが増えるほど、足下から世界が変わっていくはずです。最近は、大きな課題を変えようとするために、システムそのものを一気に変えてしまう傾向があります。しかしそこには、軋轢が生じてしまう場合があります。そうではなく、自分の生活や家族、ローカルな地域社会など、身近なところから一つひとつ、創造力を発揮できる人間たちで変えていけばいいのです。そうすれば本当に世界は少しずつ良い方向へ変わっていくでしょう。芸術大学が作家を輩出するという一般的なことだけではなく、むしろ社会のあらゆる分野へも、〈ソウゾウリョク〉を持った、クリエイティブな人材をどんどん輩出していきたいと東北芸術工科大学は望んでいます。
そして大学が持っている潜在能力は、単なる足し算ではなく、「かけ算」の理論で発揮されます。教授と学生が持つ、それぞれの価値や能力を掛け合わせたとき、何倍もの力になっていくのです。教授は教える人、学生は教わる人という立場ではなく、もっと対等にお互いが対話して触発しあえる、しかもお互いがもっとパワフルに動ける、そんな大学を芸工大は目指しています。