秋田県立美術館蔵 藤田嗣治 大壁画『秋田の行事』。初の保存科学・修復学的調査を実施。

文化財保存修復研究センターでは、2013年9月28日にオープンする「秋田県立美術館」開館記念展「壁画≪秋田の行事」からのメッセージ -藤田嗣治の1930年代-」の出展作品として話題となっている大壁画『秋田の行事』初となる、保存科学・修復学的調査を行いました。同展では、作者の藤田嗣治氏が大壁画の群像表現をどのような制作材料と技法で行ったのか、使用された画布や絵具の組成などの技法を解明し、新たな藤田嗣治像についての資料を展示致します。

調査にあたったのは、西洋絵画修復が専門の森直義 美術史・文化財保存修復学科教授をはじめとする本学の教員・研究員と、作業補助として西洋絵画修復と保存科学の分野を専攻する大学院生、学部4年生(2011年時)です。今後は展覧会のオープンに向けて、9月21日に森教授および大場詩野子同センター研究員がパネルの展示作業を行うほか、2012年10月13日に開催されるシンポジウム「壁画≪秋田の行事≫を考察する」に森教授が出演し、他の登壇者とともに『秋田の行事』の意義を検証します。

『秋田の行事』作品解説

1936(昭和11)年に秋田市に資産家・平野政吉が美術館建設構想を打ち出し、その美術館の壁を飾るため翌年の1937(昭和12)年に描かれた壁画。藤田氏は制作にあたり「秋田の全貌」「歴史的秋田の意味」を描くことを意図したとされ、約半年間、頻繁に来秋して取材を重ね、平野が財を築いた外町に視座を据え、外町から眺望した「秋田」を描き出した。秋田の祭りと祈り、暮らしと産業、歴史が、祝祭空間と日常風景の対比のなかに、色彩豊かに展開する壮大な作品となっている。
秋田県立美術館ホームページ

調査内容の概要

①状態調査:目視観察による調査と記録
②光学調査:通常光、斜光、紫外線、赤外線、X線による撮影
③科学分析調査:蛍光X線分析による絵具の顔料同定など。
文化財保存修復研究センターホームページ
美術史・文化財保存修復学科ホームページ

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