「国指定史跡日向洞窟」の発掘調査を行います

東北文化研究センターでは、長井謙治歴史遺産学科講師(東北文化研究センター研究員)を団長に、学内外の調査員23名の日向洞窟発掘調査団を組織し、2013年8月30日~9月13日に「国指定史跡日向洞窟」の発掘調査(合宿調査)を行います。

調査概要

遺跡名:国指定史跡日向洞窟
調査箇所:高畠町大字竹森
調査内容:日向洞窟遺跡・西地区隣接地の掘削、範囲確認
調査者:長井謙治専任講師(団長)/本学歴史遺産学科学生15人/他大学学生(國學院大学)3人/渋谷孝雄(山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館長)/安斎正人(本研究センター教授)/佐藤宏之(東京大学大学院教授)/菊池強一(岩手県立大学非常勤講師)以上23人
調査期間:2013年8月30日(金)~9月13日(金)(合宿調査)
調査工程:2013年8月30日(金)~9月3日(火)草刈、測量、調査区設定
9月4日(水)~10日(火)調査区掘削
9月11日(水)13:30~現地説明会
9月11日(水)~9月13日(金)写真撮影、埋め戻し
協力:高畠町教育委員会/山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館

調査の目的と方法

昭和30年から平成元年にかけて、山形大学、東京大学、高畠町教育員会によって、日向第Ⅰ洞窟とその前庭部(西地区)が断続的に調査されており、既に縄文時代開始期における土器や石器等のきわめて良好な資料が豊富に出土することが判明しています。しかし、これまでに調査対象となってきた日向洞窟地区とその前庭部(西地区)は、互いに約100m離れた場所に位置しており、両者が同時期に一連のものとして形成されたものかどうか、良くわかっていませんでした。そこで今回は、両地区のほぼ中間に位置する畑に新たに調査区を設け、これまで調査された二つの地区の出土遺物と対比させながら、両地区の関係性を明らかにすることを目的として発掘調査を行います。

期待される成果

本調査によって、従来知られていた二つの地区が一連の関わりを持つことが確かめられれば、日向洞窟は縄文時代草創期における日本最大級の洞窟遺跡群として、学史的にきわめて重要となります。また、近年の考古学における自然科学
分析の発展はめざましく、ここ数年で古気候や古植生が詳細に復元されるようになっており、更には遺跡が残された年代について、高精度に年代決定できるようになっています。また、日向洞窟の周辺には現在の白龍湖に相当するような低湿地が広く展開していたことが判明しており、日向洞窟周辺の堆積層は上記の理化学的分析を試みる上での格好の資料を提供していると考えられます。学史的にも縄文時代草創期における低湿地の調査は稀有であり、本調査によって、通常腐って残らない有機物資料のほか、往時の植生史を復元するための古環境データが得られると期待できます。また、本調査ではAMS炭素年代測定等、将来的に分析可能なサンプルの獲得を目指しております。

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