仙台の資源を活用した五感マーケティング戦略の考察とその発展のための実践研究 千葉賢一郎

はじめに
 本研究は自身の過去の経験を糧に「地域活性化とは何なのか?」「どんな手法を用いれば万人に共感してもらう企画提案が行えるのか?」を明らかにするために、仙台市における五感環境都市構想の試行というテーマで、五感を用いた地域活性化の方法論を様々な視点から模索していくことを1つの流れとしていく。
 そのためにはまず五感とはいったいどのような物なのかを理解し、その応用の仕方を探り、関連研究として県内の企業と連携してプロジェクトを進め、実践での経験値を増やす。それらの知識と経験を活かして新たな商品開発の提案を行い、五感マーケティング戦略の研究とする。

五感の価値
 五感とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚で構成される人間がもつ受信機能のことである。ヒトを含めた動物の感覚機能はさらに細かく分類することが出来るのだが、この5つの感覚で人間のもつ感覚全体を指すことが出来るので、昔からこのように分類されている。五感は遠感覚と近感覚に分けることが出来、感覚それぞれバランスよく活用し、総合的に外界を認識し行動している。しかし、 遠感覚や近感覚での判断は、あくまで生命維持のための判断にすぎず、人間の過ごし方は「生活」と表記され、生活の「生」は“身体の充足”つまり動物的なものと同じで、健康状態を維持し続けることを指し、「活」は“心の満足感”つまり、毎日イキイキとした暮らしを送ることを指す。この二つが十分に満たさせることで本当の生活を送っていると判断出来る。本研究では“活”つまり心の満足のために五感的快を感じさせることが出来るようなブロダクト開発や地域活性化の方法論などを提案していく。

関連研究
  塩釜発のB級グルメ「カマボール」企画
 このプロジェクトは宮城県塩竈市に本社を置く練り物工場「阿部善商店」と共に行ったプロジェクトで、日本の伝統的な食べ物である練り物類の需要が低迷しているといった問題点にくさびを打ち、練り物類の食シーンにおける復活を図るものである。
 結果として、練り物類の新しいファストフードの食べ方と、その展開の為に活用できるようなロゴマークを作成し提案した。
  鳴子の温泉水化粧品「NARUCOSME」提案
 このプロジェクトは宮城県でもっとも有名な「鳴子温泉郷」の温泉水の化粧品としての応用を探り、温泉水の効能やエビデンスをもとに宮城県発の地産地消型化粧品としての開発・シリーズ化を図る「スパコスメ開発プロジェクト」である。このプロジェクトは現在も進行中であり、今後もこれまでに行ってきた提案や調査をさらに発展させていく。
  五感環境都市構想の試行
 現代の社会はあまりにも人工的に整備されていて、そこに住む人々が本来持っていた原始的な五感感覚は減殺されてしまい五感刺激による感情の起伏の少ない生命感に乏しい都市環境が成立してしまっている。五感の衰退といった問題点を解決し、生命感にあふれた都市づくりを進めていくために様々な実験を行った。
?ゼリーオブジェの制作:ゼリーの消費量が日本一になった仙台市を「ゼリーの街」として確立させようと結成された「ゼリーの街 推進協議会」に東北芸術工科大学として参加し、ゼリーの新しい五感ツールとしての活用方法である「ゼリーオブジェ」を展示した。
?香りの七夕飾り:仙台の伝統的な観光資源の1つである「七夕飾り」にもう1つ五感的刺激を加えることが出来れば七夕飾りの魅力が増大するのではないかと考え、香りの放射器を使い、香りを発生させる七夕飾りを制作、展示した。

これから求められる五感価値の創出
 五感的快を引き出し、ユーザーの記憶に残し、繰り返し使いたいと思わせる欲求を引き出すことが五感マーケティングには必要不可欠である。例えば マスクのように日用品として使用する物に対する欲求を知り、さらにそのマスクの使い道の中に隠れている欲求を探り、その欲求の解消になるような五感要素を付け足した五感商品の提案を行っていく。
?リラックスマスク:マスクを着けている時間も自分の好きな香りを感じることが出来る。これでマスクの本来の使い方だけではない満足感を味わうことが出来る。
?ミニ香りの七夕:仙台の伝統的な名物である七夕飾りを単発のイベントの時しか見ることが出来ないのはとてももったいないことである。そこで、個人的なスペースであり、なおかつ常時設置しておく意味があるような付加価値を七夕飾りに持たせることが出来れば、七夕飾りの五感資源としての価値を上げることが出来る。
?パーソナル水琴窟:日本の伝統的な音の仕掛けである、水琴窟を自分の身近で楽しむことが出来る。コーヒーの抽出時間を心地よい五感刺激で楽しむことが出来る。
?食べる温泉水:浸かる、飲むの楽しみ方がある温泉水をゼリーにして食べることで温泉水の新しい五感刺激の楽しみ方を提案出来る。

結論
 五感マーケティングを今後も商品開発や地域活性化の方法論に応用し、好奇心や感受性を高め、感動や快感にあふれた市場を新たに作り出し、人間らしい活動を取り戻せるような「心に訴えるマーケティング」が今の世の中で必要であり、沢山の可能性を秘めている。その可能性を引き出すことが今後、やるべきことである。


左から:1.カマボールロゴ/2.NARUCOSMEロゴ/3.ゼリーオブジェ/4.香りの七夕

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